
自分で薬を管理するということ
みなさんは自分が飲んでいる薬の名前や種類はご存じでしょうか?
もちろん!という方もいれば、よくわからないけど医師に言われたので飲んでいるという方もいらっしゃると思います。
私たち医療者は、患者さんが服用している薬の情報をとても大事にしています。
薬がわかれば、持病やその重症度について予想がつきます。
特に夜間・時間外外来や救急車で来院された初診患者さんの場合に重要になります。
東日本大震災の時には、お薬手帳を紛失し自分の持病や薬がわからず、診察に苦労した方も多かったようです。
また、毎日決められたとおりに服用できず薬がたくさんあまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私の外来でも「1か月分、薬があまっているから、今日は処方いらないよ!」という患者さんにお会いすることがあります。
理由をおうかがいすると、
「薬の数が多く一つひとつ薬を出すのが大変」
「昼食後の薬を職場で飲む時間がない」
「朝の血圧を見て飲むか飲まないか決めたり」
…等々、さまざまなご意見がありました。
薬が多くて管理が大変な場合には、飲むタイミングに合わせて袋をまとめること(一包化)ができます。
昼食後に服用できない方には朝・夕食後にずらしたり、また朝の薬が多すぎる!という方には朝・夕に分けたりといった工夫ができることがあります。
また、物忘れがひどくて…、という方には薬剤師さんや訪問看護師さんの力を借りることもできます。
薬を知る・自分で管理する、ということは自分の持病を知り、治療に向き合うということでもあります。
どうしても服用が難しい、という方にも、さまざまな工夫をこらすことで負担が減らせることがありますので、ぜひ、相談してくださいね。

この文章を書いた人
枝元 真人(えだもと まさと)
宮崎県宮崎市生まれ。東京大学工学部卒業後に新日本製鉄株式会社(現:日本製鉄株式会社)でエンジニアとして勤務。医学の道を志し、2017年に宮崎大学医学部を卒業、沖縄県立中部病院で初期研修。2019年より宮崎大学医学部地域医療・総合診療医学講座の「総合診療専門医プログラム」の後期研修を開始。串間市民病院で1年間の研修を経て、2020年4月より都農町国民健康保険病院で総合診療科の立ち上げに従事。趣味は水泳やドライブなど身体を動かすことで、家で過ごす際はAmazonプライムを見ることが多い。
