ルネサンスと都農町が協定、町をあげて健康づくりを支援
地域活性化起業人制度とは
都農町と株式会社ルネサンスは、総務省が創設した地域活性化起業人制度(企業人材派遣)に基づき、都農町全体の健康づくりの支援に関する協定を結びました。
7月より、ルネサンスから都農町まちづくり課に派遣、着任した田原輝幸さんに、地域活性化起業人の役割や、都農町で推進する健康づくりについて、話を伺いました。
―地域活性化起業人はどのような仕組みなのですか?
地域活性化起業人は、地方公共団体が、三大都市圏に所在する民間企業等の社員を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を活かし、地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事してもらうことを期待するプログラムです。
ルネサンスとして、このプログラムを通じて、現地に入り込み、住民のみなさまの声を聴き、まちの状況を的確に知ることで、まちに合った健康づくりの提案ができると考えています。
―具体的にはどのようなことをするのですか?
たとえば、人口10,933人で都農町とほぼ同じ規模の鳥取県伯耆町(ほうきちょう)では、ルネサンスの地域活性化起業人が3年ほど常駐しました。
公共施設の保健福祉センターを活用して、町民の健康増進につながり、幅広い年代が利用する大きなコミュニティ拠点『フィットネス&スタジオ パル』の開業から運営まで、伯耆町や社会福祉協議会と連携しながら支援を行いました。
また、住民への調査をもとに、シニア層の習慣的な健康生活を目的とした拠点づくりを目指し、「就労」「運動」「コミュニティ」の3つの場『みぞぐりテラソ』の開業のお手伝いもしています。
―都農町ではどのような支援を行うのですか?
町民からの要望も多いと聞いているフィットネスジムの企画や開業推進、あるいは健康増進施設や福祉サービスの企画や開業推進を予定しています。
ルネサンスの名前で事業をやるという趣旨ではなく、黒子として、町役場、財団法人、NPO、民間企業など関係機関の意見調整や合意形成のお手伝いをしていきます。
人と人をつなぐ、ルネサンスという会社
―なぜルネサンスはこのような取り組みをされているのですか?
現状、スポーツクラブを利用する人は人口の4%ぐらいで海外に比べると伸び悩んでいます。
スポーツクラブの数は増えていますが、利用する人が増えているわけではなく、一定のパイを取り合っている状況です。
そこで、ルネサンスとしては、スポーツクラブなどの「ハード」を構えず、自治体と協力して、地域の人たちに「ソフト」としてのスポーツや健康を提供できればという思いで、地域活性化起業人制度の利用をはじめました。
―ルネサンスはどんな会社なのですか?
『生きがい創造企業』としてお客様に健康で快適なライフスタイルを提案しています。
スポーツクラブ業界では、ジムの無人化が進んでいますが、ルネサンスは人と人との接点を大事にしてきました。
人と人をつなぐ、というコンセプト、社風が個人的には好きです。
サッカー選手として活躍した大分トリニータが縁で、ルネサンスへ
―どのような経緯でルネサンスに入社されたのですか?
サッカー選手として、「大分トリニータ」の立ち上げで大分に行き、仕事をしながらサッカーをしていました。
当時の「大分トリニータ」は、いまの「ヴェロスクロノス都農」と同じ九州リーグに所属していました。
自分はサッカー選手の受け入れ企業の1社であったルネサンスに勤務させてもらい、夕方まで普通に仕事して1時間ほど早くあがらせてもらって夜練習するという毎日を送っていました。
サッカー選手を引退するとき、ルネサンスもやめるつもりでしたが、サッカースクールとフィットネストレーナーの2つを兼務してやりがいを感じたこともあって、引退後も勤務させていただくことになりました。
―やりがいはどのあたりに感じていましたか?
サッカースクールの子どもの在籍数が全国で一番になったんです。そのことで、指導に少し自信を持てて、子どもたちが笑顔で楽しいと言ってくれていたのがモチベーションになりました。
教えるのが好きなのと、もともと子どもが好きなことも大きなやりがいでした。
できないからこそ、いろいろ考える
―指導ノウハウはどうやって手に入れたのですか?
Jリーグのいろいろな指導者や監督、元日本代表監督のオフトさんからも教えてもらいましたよ(笑)。
ただし、子どもに対する指導とは違うと思ってました。
「教えていいこと」「教えてはだめなこと」を自分ではわかっているつもりでした。
ずっとレギュラーだった高校時代、そうではない社会人時代、と両方を経験したことが指導者としては大きかったです。
いま振り返ると、自分はサッカーが下手でした(笑)。
足は速かったんですけど、それゆえに社会人になってからすごく苦労したんです。
その経験を踏まえて、子どものころから何をしないといけないか、運動能力に頼ってはいけないということを子どもたちに伝えるようにしています。
足の速さって、子どものころ突出していても、だんだんみんなが追いついてくるので差がなくなってしまうんです。
できないからいろいろ考える子どもと、できている子どもは考えなくても勝てるので、そこで差がついてしまうんです。
小さい時から、強制ではなく、知らず知らずのうちに考えるようになる、ということを目指してきました。
子どもは目で見ることも大事ですね。
「こんなことできる?」って、やってみせて、あとは教えないで、「ここだけ意識しようか」ぐらい。
都農町で健康増進の新しいしくみづくりを
―都農町に手を挙げた理由は?
今年の2月に関西から山口のスポーツクラブに異動したばかりだったんですが、2ヶ月も立たないうちに今回の話がきました。
都農町は、サッカーで町を盛り上げようとしている町だから、ルネサンスで一番サッカー経験のある僕が行くのがいいと言われまして。
―都農町でやってみたいことは?
町民のみなさんにフイットネスを体感いただきたいです。
健康増進の手段として、すごくやりがいがありますので。
ただ、それだけでは終わらせたくありません。
子どもから高齢者まで、全ての人がスポーツクラブに来るわけではないので、体操教室の参加者を増やすとか、地区を巡回したり、健康増進施設に一人でも多く連れてくるにはどうすればいいか考えて、町に新しいしくみをつくっていきたいと思っています。
できるだけ、人を巻き込んでやらないと成功しないと思います。
自分が動くだけではなくて、町役場の課と課をむすんだり、人と人をつないでいって、自分がいなくなっても機能するしくみをつくらばければ、僕が来た意味がないと思います。