心もおなかも満たされる。月に一度「児童館」にオープンするカフェ

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こどもカフェ「どんげね」

都農町下浜地区の漁港近くに、オレンジ色の屋根が目をひく建物があります。この建物は「みなと児童館」という福祉施設です。

みなと児童館には月に一度、子ども向けのカフェ「どんげね」がオープンします。今回はこの取り組みについて、児童館職員の黒木至美さん、運営スタッフの疋田末弘さん、児玉清子さん、橋本信子さん、甲斐正子さんの5名にお話を伺いました。

黒木さん
疋田さん
児玉さん
橋本さん
甲斐さん

一緒に食べると心が近くなる

ーーみなと児童館はどういった施設ですか?

黒木さん 都農町の児童福祉施設です。子どもたちが放課後に来て、宿題をしたり遊んだりしています。土曜日には子どもたちと一緒におやつを作ったり、お腹が空いている子に軽食を作ったりすることもあります。利用者は18歳までですが、子どもたちを通じて地域の人たちとも一緒にさまざまな活動をおこなってきました。

ーーこどもカフェ「どんげね」ではどのような活動をされていますか?

黒木さん 月に1回、70名分の食事を作り、テイクアウトで提供しています。コロナ禍になる前は90食を作って、施設内で提供していました。運営スタッフは当番制。7人のグループが4班あります。それ以外に常時手伝いに来てくれる人が6人くらい。最近は毎回来てくれる人が増えているんですよ。

橋本さん 毎回メニューがすごいよ。デザートまでついている。

甲斐さん 先生(黒木さん)が毎回全部考えてくれているよ。

黒木さん スタッフの皆さんが本当に元気。それぞれに元気の秘訣があって、年齢が分からないほど若い。

私がとても嬉しかったのは、「ちょっとでも良いことをしてあの世にいこうや」という気持ちを持っている人たちが地域にいてくれたこと。都農町の子どもたちのためにいろいろとやってくれて、ありがたいなと思う。

疋田さん 家でぽかーんとしていたら老けていくばかりだから。

橋本さん じっとしているのが一番体に良くないからね。

児玉さん やっぱり手伝いのときはしゃきっとなって、「よし、行こうか」となるよ。言われた時間よりも早めに行くこともある。

黒木さん 活動以外の日でも、「何かやることはないですか」と立ち寄ってくれる人もいるんですよ。

ーーどういった経緯で始められたのですか?

黒木さん 児童館を利用する子どもたちの様子を見ていると、ご飯を食べていないなど気になる子が割と多かったんです。

食事というのは本当に大事で、一緒に食べるとお互いの心も近くなるし楽しいし、心もおなかも満たされる。コロナ禍になる前は子どもたちも食事づくりを手伝ったりみんなで一緒に食べたりしていました。多いときには100人近くになることもあったんですよ。月に何回もはできないけれども、楽しい場をつなげていけたらいいなと思って始めました。

疋田さん 私が以前自治会長をしていたときに、先生から「実はこういった活動をしたいと思っているのですが、協力してくれる方はいないでしょうか」と相談を受けました。そこで先生と一緒にいろいろな人を訪ねてまわったんです。

自治会長になるまでは先生の顔は知っていたけれど、会話したことはなかった。町の施設である児童館は地区の人たちも利用するから、先生たちと仲良くしておきたいと思って近づいたのが最初の流れ。

私は児童館でおこなっていた班長会に、老人会長や子ども会の幹事、民生委員、婦人部の会長などにも「来てください」と声をかけるようにしたんです。班長だけでなく、いろいろな人が集まって会議をすれば、「こういうことをしたらどうでしょう?」というコミュニケーションが自然と生まれていくだろうと思って。実際に「100まで運動教室」を始めるなど、つながりがどんどん広がって大きくなっていった。そうした流れの中で、先生から相談を受けました。

黒木さん 自治会長の日頃の地域活動によって実現できたと思う。皆さんからの信頼があるんだなと感じました。

橋本さん 疋田さんが自治会長になってから、がらっと変わったよ。病気をしてやめてしまったけれど、もう一回やってほしいくらい。私たちにはできないことをしてくれるから、本当に助かっているよ。

疋田さん 下浜地区以外の人も手伝いに来てくれるから、たくさんの人とのつながりができた。この活動がなければ、こういうつながりはできんかったよ。

自分の命は自分で守る

2011年に発生した「東日本大震災」。地震後の津波により、東北地方に甚大な被害が生じました。下浜地区では東日本大震災をきっかけに、防災訓練を始めました。

疋田さん 私たちは海抜の低い地域に住んでいるのだから、防災訓練をしなければいけない。自分の命は自分で守らないと。

甲斐さん 夜も訓練しよったよね?

疋田さん 私が自治会長になってから町に交渉して、夜も訓練しよった。住民には「○月×日に防災訓練をしますよ」とだけ伝えて、時間は内緒。

ーーとても実践的な訓練をされているんですね!

疋田さん 地震はいつ起こるか分からんやろ。時間を伝えると高齢者は早めに集合してしまうから、訓練にならないんですよ。だから時間は内緒にしていました。

「つかさん」周辺の掃除が日課

都農町には「つかさん」の愛称で親しまれている古墳が複数あります。中には大小の石を積み上げた「積石塚」という珍しいものもあり、宮崎県の史跡に指定されています。甲斐さんはつかさんの周辺を掃除することが日課だと教えてくださいました。

ーー皆さん本当にお元気ですよね!

橋本さん やっぱり希望や目標を失ったらだめやね。私も遊んでばかりでどうにかなりそうな時もあった。ここ数日は児童館に行かなきゃ!と思っていたよ。だから今日ははりきって来た。

児玉さん 家にいても何か楽しみを持たないとね。それなりに楽しみ方はあるから。

甲斐さん 私はつかさんのところを毎日掃除しよるよ。朝になると「あ!掃除しないと!」って思う。落ち葉が多いときは1日5回くらいするときもある。

足を手術したからリハビリで動かんといかんなと思って、最初のころは早歩きで散歩しよったけど、今はつかさんの周囲と道路の掃除をしよる。朝掃除をしていると、子どもたちが「おはようございます」と挨拶して通るから、「いってらっしゃい」と見送っているよ。

自分より年上の人は「おまえ」

ーー皆さんは元々都農町のご出身ですか?

橋本さん みんな都農。浜獲れ!

黒木さん 私は山口県獲れ。都農町に来てもう38年くらい。まだ知らない言葉もあるけれど、もうほとんど都農弁で話している。最初の頃は浜の皆さんの言葉が荒く聞こえてね。人にもよるのでしょうけど、なんだか怒られているような感じだった。

橋本さん 声も大きいしね。波が関係しているのかも。

疋田さん 漁師地区では自分より年上の人を「おまえ」と言うんですよ。

橋本さん おまえは良い言葉よ。漢字で書くと「御前」。年上の人と話すときは語尾に「の」をつけて話すとよ。「おまえはよの(あなたは)」と言うと優しく聞こえる。

疋田さん 他の地区で使って怒られたこともある。それから「あんた(あなた)」を使うようになった。他の地区に出たら言葉は気をつけんといかんね。

今回はこどもカフェ「どんげね」の取材でうかがいましたが、古墳や方言のお話など、都農町の新たな魅力まで教えていただくことができました。

また、みなと児童館は地域の人たちにとって、「児童館」としての役割だけでなく、「公民館」のようでもあり、「世代間交流サロン」でもあるような、いろいろな役割を果たしている存在なのだなと感じました。

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