出前看護師が語る冥土の土産話
お盆が過ぎました。
私たち病院の出前部隊では、「ご自宅で家族に囲まれて最期を迎えたい」とか
「最期は私たちが看送ってあげたい」方たちのお手伝いも行っています。
近年は制度的に在宅医療が整ってきましたので、自宅で最期を迎える事が普通になりつつあります。
そういうお手伝いをしている中でお手紙をいただきました。
詳細は控えますが、「末期の状態でも家に帰ってくることが出来た本人の喜び」と「高齢な自分達が病院の出前があったからこそ看取る事が出来ました」という医師や訪問看護師への感謝のお言葉でした。
お看取りは、中身を言ってしまうと「時間との戦い」です。
一分一秒でもタイミングがずれてしまうと、末期の症状の痛みや吐き気や苦しみを長引かせてしまうし、痛みを感じる本人同様に側で看護している家族も心が痛みます。
現代の薬は入院していても家で療養していても使える薬が、たくさん開発されました。
昔は点滴や注射など家では使いにくい薬が多かったんです。
だから私たちは痛みや不快感が大きく成長してしまう前に取り除くタイミングをとても重く思っています。
そうやって、心地よく過ごせる期間を家族と過ごせる大切な時間として支えています。
そんな、心地よい時間をできるだけ長く過ごしていただくと言う意味で時間と私たちの戦いはあります。
そう言う時間を数週間もしくは数日過ごした後…
だんだん弱くなっていく生命の力を固唾を飲んで見守りながら、逝く人の手を握って旅立ちを支えるご家族と団結して最期の瞬間まで患者さんの病と戦います。
そんなふうに、私たち出前部隊は数えきれない方々を看送ってきました。
いつも思っています。これでよかったのか?と。
辛くきつい療養生活だったかも?
ご家族は不安でたまらなかっただろうけど、もっと何か出来たんじゃないかな?
未熟で力が不足していたんじゃないかな?
提供した医療に過不足はなかったかな?
この質問には、どなたもお答えくださることはありませんし。
でも、今年はいただいたお手紙でご家族の思いは受けとる事が出来ました。
「私の時もよろしくお願いします」って。
すごく励みになりました。
お任せください!!!「病院の出前」今日もがんばります!!!
新盆を迎えたご家族は、先に逝った大切な人のことを、今、そばにいてくれる大切な人たちとたくさん話してください。
その中で逝った人の最期をしっかり胸に刻んで、自身の冥土の旅へと生かしてください。
「自分らしく、粛々と」冥土への旅の準備もお忘れなく。
この文章を書いた人
つのまるナース
「つのまるナース」は、病院の組織では看護部に所属しています。
看護部には男女の20〜60歳代、子育て中や、身内の介護中など様々な生活背景を持つ40人近い看護師がいます。看護師⻑のもと、「外来」(通院する患者さんへの看護)と「病棟」(入院されている患 者さんへの看護)の、大きく分けて2つのチームにわかれ、外来、健診、訪問、病棟、 地域連携の各部署で、それぞれのもつ個性を活かしながら、日々働いています。 たくさんある看護師のしごとを、これから「つのまる」を通じて紹介していきます。