感染症と治療薬
皆さんは怪我をしたときや病気になったとき、または歯科治療をしたときに抗菌薬を処方されたことがあるでしょうか?
抗菌薬には数十もの種類があり、飲み薬や点滴薬から投与の方法も様々です。
そんなたくさんの種類がある抗菌薬ですが、一つ共通点があります。
それは『細菌』による感染症にしか効果がないことです。
すなわち、今流行している新型コロナウイルスや昔からあるインフルエンザウイルスなどの『ウイルス』感染症、はたまたカンジダという『カビ』が原因で起こる水虫には効果がありません。
では、これらには治療薬がないのかというと数は少ないながらあるものの、特にウイルス治療に使用する抗ウイルス薬は非常に少ないです。詳しい説明は少し専門的になってしまうので今回は省きますが、実際に病院で処方できるのは、インフルエンザや帯状疱疹といった限られたものだけで(細菌は新型コロナウイルスにも重症化予防のための薬が登場しています)、ノロウイルスや、RSウイルス、はしか(麻疹ウイルス)などには無いのです。
医学の道もまだまだ道半ばということですね。
この文章を書いた人
坂本 遊(さかもと ゆう)
宮崎県宮崎市に教育者の両親の元で生まれ、地元の中学、高校に進学。現役時代は宇宙工学に憧れ、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)に入ることを目標に名古屋大学工学部を受験するも不合格となり、大学浪人に突入。その際、自分が恵まれた環境にいること、地元宮崎が好きなこと、人のためになる仕事に興味があったことから、一転して医学部受験を志し、翌年、宮崎大学医学部に合格。2019年に大学卒業後は古賀総合病院で初期研修を行い、2021年から「ALL MIYAZAKI総合診療専門研修プログラム」の第一期生として総合診療医としての研修を県立宮崎病院でスタートし、現在に至る。趣味はコーヒーと喫茶店巡り、ジム通い。暇さえあれば、県内各地のカフェに出没しているとの情報あり。