けんこう日記

看護師になったわけ③~実習先での経験~

4日連続でご紹介している、私が看護師になった理由の3日目です。

臨床実習でとても心に残っている患者さんがいます。

それは精神科の実習でした。

私は思春期の自傷行為後の患者さんを受け持ちました。

歳も私と5つ程度しか変わらない患者さんです。骨折しているため動けません。というより動かないのです。しゃべりもしません。

ご飯もお風呂も介助です。毎日、車椅子に乗せて入浴介助をして、食事介助をして、色々話しかけました。

返答はありません。表情は変わらず、視線も合いません。

なんて大変な患者さんを受け持つことになったんだろう…何にもできないなーと思いました。

ある日、食事介助をしていたら、ピタッと口を閉ざして食べてくれなくなりました。

なんで?

食べてくれないと私が看護師さんに怒られてしまうと思いましたが、私は’「食べたくないんでしょう、いいよ、食べたくなるまで待ちますね」と声をかけて、食事介助をとめて、ずっと待ちました

しばらくすると、看護師さんが来て 「何してるの、食べさせて」と言われたんです。

私は「食べたくないみたいなので、食べたくなるまで待ってるんです」と答えたら、その看護師さんが食事介助を始めてしまいました。

無理矢理、口の中に食事を運ぶのを見て複雑な思いが湧いたのです。

私は食べさせられなかったから助かったという思いと、食べたくないのにあんな風に無理に食べさせるなんてという思い。

その日はそのまま実習が終わりました。

次の日、同じ患者さんの所に行きました。

ベッドサイドに座って、いつものように話しかけました。

すると、小さな声で答えてくれたんです。びっくりです。

個室だったので2人だけです。

ぽつりと答えてくれます。

部屋の前を通りかかって声を聞いた看護師さんもびっくりしていました。

その日から、少ししか口を開けてくれず時間がかかっていた食事介助もスムーズにできるようになりました。

少しずつ会話になり、表情に変化が出始めました。

私の実習最後の日。私がいなくなって大丈夫かな?と心配でたまらなかったのを覚えています。

この文章を書いた人
つのまるナース

「つのまるナース」は、病院の組織では看護部に所属しています。

看護部には男女の20〜60歳代、子育て中や、身内の介護中など様々な生活背景を持つ40人近い看護師がいます。看護師⻑のもと、「外来」(通院する患者さんへの看護)と「病棟」(入院されている患 者さんへの看護)の、大きく分けて2つのチームにわかれ、外来、健診、訪問、病棟、 地域連携の各部署で、それぞれのもつ個性を活かしながら、日々働いています。 たくさんある看護師のしごとを、これから「つのまる」を通じて紹介していきます。

目次