体内の酸素は多ければ良いわけではない
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体内の酸素量が少ない低酸素血症に対して、酸素投与は医療現場でよく行われます。「酸素は足りないよりも多い方が安心」という気持ちに医療者もなりがちが、多すぎる酸素はかえって害になる場合もあります。
過剰で長時間の高濃度酸素投与により、活性酸素により気道や肺がダメージを受ける酸素中毒という合併症があります。慢性呼吸不全で二酸化炭素が溜まりやすい人は、酸素投与により血中の酸素が上がりすぎると呼吸が抑制され、二酸化炭素がさらに溜まって意識障害を起こしたりするCO2ナルコーシスという危険な状態になってしまう場合があります。
医療現場では酸素が必要な場合、その人の持つ病気や呼吸状態、SpO2の値を見ながら、酸素投与のための種々の器具・装置をつかって体内の酸素量を調整できるようにしています。
この文章を書いた人
桐ケ谷 大淳(きりがや だいじゅん )
大阪府出身。2001年、滋賀医科大学卒業。社団法人地域医療振興協会にて地域志向型研修を受け、へき地の診療所で所長を務める。2012年に子育て環境を考えて、妻の実家のある宮崎県へ異動。地域の病院での在宅医療部門の立ち上げや、大学での教育に携わり、2020年4月から都農町にて勤務。ワーク・ライフ・バランスを良くしていくことが、ここ数年の課題。最近の趣味は、子どもたちとサッカーをしたり公園で遊ぶことです。
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