高血圧症
『高血圧症』多くの人はこの病名を聞いた事があると思います。
もしくは、ご自身や身近な方が治療を受けている人も多いかもしれません。
糖尿病や脂質異常症といった「生活習慣病」のグループにおいて、患者さんの数が最も多いとされる高血圧症についてご紹介します。
風邪には咳や鼻水といった症状があるように、病気の多くは症状を伴いますが、高血圧症は一般的に症状がありません。
血圧がすごく高いことで、頭痛やふらつき、気分の悪さ等が生じることもまれに有りますが、多くの患者さんは、基本的には高血圧症の症状を感じていません
この「症状がない」という事が非常に厄介な点だと感じます。
症状がない病気は、その存在に気がつかれずに見過ごされてしまっていることも多く、たとえ健康診断で指摘されたとしても症状がないから大丈夫と放置されていたりすることもあります。
では、わざわざ「症状がない病気」を診断して治療する意味はどこにあるのでしょうか。
治療の目的は『動脈硬化を予防する』ことにあります。
私たちの体には頭のてっぺんからつま先まで体中に血管が張り巡らされ、その中を血液が流れ巡っています。
高血圧症、血圧が高い状態が続いていると血管にストレスがかかり、その結果として血管がどんどん細く硬くなります。これを『動脈硬化』といいます。
『動脈硬化』がすすみ、細く硬くなった不健康な血管は、健康な血管と比べて血液の巡りが悪く、非常にもろく壊れやすくなっています。
血管が壊れて詰まってしまうと血液の流れが途絶えてしまい、体に不具合をきたすわけです。
特に、心臓の血管が壊れ、つまった場合は、心臓の働きが悪くなる、命に関わる大病の心筋梗塞が起きてしまいます。
脳の血管の場合には脳卒中という手や足の麻痺を引き起こし、日常生活に大きな不都合をもたらす病気が起きてしまいます。
このような怖い病気はある日突然起こります。
症状がないからといって放置しておくと『動脈硬化』が進み、いつかあなたに大病を引き起こします。
高血圧症が
『サイレントキラー:沈黙の殺人者』
と言われる所以です。
先に述べた『生活習慣病』という病気のグループは、この恐ろしい『動脈硬化』を悪化させる、危険な病気の集まりなのです。
症状がなくても、ご自身の血圧が気になる方、心配な方は是非一度ご相談下さい!
この文章を書いた人
䅏田 一旭(のきた いっき)
東京都出身。2014年宮崎大学医学部を卒業、宮崎大学医学部附属病院で初期研修を開始。2016年より宮崎大学地域医療・総合診療医学講座の専門医プログラムを専攻。2020年4月より都農町立病院総合診療科に勤務。
大学入学をきっかけに宮崎にやってきて、かれこれ10年以上経ちました。今では、妻と共に宮崎での子育て生活をエンジョイしています。趣味はサウナとスポーツです。サウナは学生時代にはまり、心身ともにリフレッシュを求めて通い続けいています。スポーツは野球 、柔道、大学ではラグビーと様々なチャレンジをしてきましたが、最近はジョギングをしながら都農町を巡っています。町の新しい発見に出会える事もあり、なかなか良い趣味になってきています。