食中毒 カンピロバクター編
少し期間が空いてしまいましたが、今回は、ある意味宮崎県で最も身近な食中毒であるカンピロバクターを取り上げたいと思います。
なぜ、身近かというとカンピロバクターは健康な鶏、牛、豚などの腸内に常在する菌で、主に生肉の摂取で感染する食中毒であり、宮崎県人にはおなじみの鳥刺しが原因となることが多いからです。
以前の投稿で全国的にはアニサキスが食中毒の原因のトップと出しましたが、実は宮崎県ではカンピロバクターが原因の1位になっているのです!
もちろん、鳥刺しを提供しているお店や県も食中毒が広がることを野放しにしているわけではなく、きちんとマニュアルを作成し、安全に鳥刺しを食べられる様に出来る取り組みを行っています
(参照:https://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/fs/6/4/7/2/6/2/_/647262.pdf)。
こうした厳密な基準を設けているのは宮崎と鹿児島くらいで、それゆえここでしか食することはできない、貴重な宮崎県の誇る食文化となっているのです。
しかし、このように厳密な基準でもって調理をしても菌が肉に絶対つかないとは限らず、一定数感染は起こります。
また昔から言われていた『宮崎県人にはカンピロバクターに耐性がある』というのも真実ではないため、調子が悪い人や特に小児や高齢者の様に抵抗力が落ちている人は食べるのを控えた方が安全です。
この文章を書いた人
坂本 遊(さかもと ゆう)
宮崎県宮崎市に教育者の両親の元で生まれ、地元の中学、高校に進学。現役時代は宇宙工学に憧れ、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)に入ることを目標に名古屋大学工学部を受験するも不合格となり、大学浪人に突入。その際、自分が恵まれた環境にいること、地元宮崎が好きなこと、人のためになる仕事に興味があったことから、一転して医学部受験を志し、翌年、宮崎大学医学部に合格。2019年に大学卒業後は古賀総合病院で初期研修を行い、2021年から「ALL MIYAZAKI総合診療専門研修プログラム」の第一期生として総合診療医としての研修を県立宮崎病院でスタートし、現在に至る。趣味はコーヒーと喫茶店巡り、ジム通い。暇さえあれば、県内各地のカフェに出没しているとの情報あり。